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5つの中国問題
5月27日〜の中国「上海⇒義烏⇒上海視察」まとめ
(株)K社上海支社副総経理;M氏との会食から
今回の上海視察研修で、上海在住のレンズ・メーカー(株)ケンコー中国現地合弁会社副総経理のM氏と会食したとき、彼が提起した「5つの中国問題」について考えてみた。


ヾ超問題
⇒M氏は、第2次産業への国家投資に比重を掛けすぎたことで、第1次産業の疲弊が食糧問題を将来起こすだろうと予見した。

⇒また工業化のための投資の99%が設備投資で環境投資がなされていないため、今、スモッグ注意報だけでなく酸性雨濃度が飛躍的に増えていることも農作物のみならず人体への影響は恐ろしいと言う。

⇒私が東京オリンピックを経験したときが中学2年生。大阪此花区、淀川の河口付近に住んでいた。既にこの付近の川は天井川になっており、見上げるほどの堤防の裏法面に固定されている鉄筋ラダーをよじ登り、車が1台通れる河川管理用通路を横切り河川敷に降りて、ハゼやボラ、ウナギを釣ったりした。上流からはゴミが大量に流れてきていた。中学校に行く道に正蓮寺川があった。鼻をつくメタンガスをブクブクと吹き出しながら真っ黒な水をどんよりと大阪港に流していた。そこに伝馬船が行き交う。引き波が堤防の岸壁(既に鉄筋コンクリートになっていた)にぶつかり、その波で岸壁がコールタールを塗りたくったような状態だった。中学生で科学部に入部していたので、バケツでメタンガスを採取して爆発の実験をしたりした。今考えると非常に危険なことをしていた。

⇒排水は工業排水と生活排水に分けられる。中国は私も知っているが、生活排水の増加率が工業排水の倍以上になっている。M氏は工業排水の汚染が極めて悪辣だと誹っていたが、水質汚染の源となるCOD(水中含有有機物量)は工業排水によるものは昨今きちんと減少している。しかし生活排水によるものは2003年からずっと5%の増加となっている。そうなのだ!都市化によって、生活排水が次第に水質汚染源の第一原因になっている。地下水の激減も見逃せない!

⇒私が大阪に住んでいるとき公設市場があちこちにあった。どこも排水処理が悪くて、上海の裏街の臭いと同じだった。確かに日本人は魚を大量に食べたので上海のように肉屋がブロックで売ることは少なかった。当時の公設市場で買ったコロッケは本当に旨かった。キュウリの糠漬けも最高だった!当時の日本も、現在の中国と同様だったのでは?・・・思う。

⇒中国の高度経済成長を支えているのは発電能力だが、需要にそれが追いつかず沿海地域を中心に停電が発生している。今回も宿泊した中国政府A+認定の虹橋空港近くにあるかつては観光ホテルだったビジネスホテル「Riverside Hotel Shanghai」は、明け方に何度も停電を起こした。ミッション・メンバーに早朝起きて、シャワーをしていたら閉めっきりのバスルームで停電が起こったそうだ。バスタブから這いながら出てきて、バスローブを巻いてフロントまで降りてゆき、なんとかせいや!と文句を言ったらすぐに電気がついたそうだ。

⇒停電は恒常的な状態だ。恐らく当然だが、火力発電所はフル稼働しているに違いない!これによって、石炭燃焼が増加、二酸化硫黄や総浮遊顆粒物質がここ上海でもどこの大都市部や盆地などにも滞留しているに違いない!とんでもない!日本にも偏西風に乗って、黄砂と共に来ているではないか!もしや今、密かに大問題となりつつある新型感染症ウィルスも鳥に乗ってくるのではなく、空中不純物に乗って来ているかもしれない!?

⇒かつての大阪の私の家は阪神コンビナートのど真ん中にあった。近くに大阪ガスのどでかいガスタンク、大きな変電所があった。一日に何度か大爆発がある。変 電所の変圧器の爆発だ。変圧器の中はラジエター・オイルが満たされている。電力の使いすぎが起こるとラジエターの機能が低下し、ついには油が膨張して破裂するわけだ。大爆発と表現してもよいくらいの威勢のいい爆発だ。もちろん周辺は復旧するまで停電だ。

⇒道路渋滞もすごい!急速な自動車の普及で上海の空間は一酸化炭素や二酸化窒素による汚染が間違いなく進んでいる。

⇒高校を卒業するまで、私の家は住友化学の工場の隣にあった。風向きによって強烈な悪臭が襲ってくる。そのたびに塀すれすれに建てられた2階建ての事務所から、子供達にあめ玉が投げられた。意味を知らない子供だから、臭いがしてくると餌をもらる動物園のチンパンジーよろしく集まってくる。もちろん私もチンパンジーの一匹だった。住友化学の作業服を着た従業員が、節分の豆まきと同じ要領でセロファンに包まれたあめ玉を私たちに投げる。私は、高校生になるまで住友化学はあめ屋さんだと思っていた。

⇒擦り傷、切り傷をしたら真っ先にオキシフルで傷口を消毒してから赤チン、ヨーチンを塗った。料理にサッカリンが大量に使われた。そういえば、あのときの空の色と今の上海の空の色は同じようだと思う。

⇒M氏は環境汚染と生態破壊がかなり進んでおり、住民の健康に危害がおよび日本の四日市病や水俣病などと同様の被害が起きているに違いない!と言う。しかし一党独裁政治による言論統制により、その事実が葬り去られ多くの国民(中国では人民)が死んでいる!統計を取るなら毎年、四川大地震の比ではないくらいの被害者が出ていると結論づける。

⇒中国にジャーナリズムはない!私はそう思っている。M氏と同感だ。

⇒中国のエネルギー構造は石炭依存だ。M氏は今中国で落盤事故が頻発し、石炭の採掘コストが人件費高騰と相成って急増していると言う。だから中国の工業製品国際競争力は極端に低下していると言う。

⇒私が福島県いわき市に移ってきたのが30年前。その3年前に有名な常磐炭坑が閉山した。閉山に伴う失業者救済策で「フラガール」ができたのはご承知だろう。日本の各地の炭坑閉山の理由は、やはりコストだった。

⇒日本も韓国もオリンピックの後3年して、本当の高度経済成長に突入する。中国はオリンピックの後、上海万博と好条件がダブるのだから、今後も驚異の経済成長を遂げると論じる者も大勢いる。M氏は意味深な顔をした。

⇒私は「経済のエントロピー現象」なるものがありそうに思っている。熱力学第2法則は「物質やエネルギーは変化に伴なって、非可逆的(熱エネルギーは必ず、高い方から低い方に移る。その逆はない!)に、その乱雑さが増大する」と定義している。言い換えると質が落ちていく。そう!「ごみ化」する。「エントロピー増大の法則」だ。生産⇒消費⇒廃棄の物理的フローは、物質の構造や濃度、純度を変化させ、変化の過程や結果を利用するそのまた結果は・・・「増大したエントロピーを捨てている」ということになるから・・・  。


土地バブル問題
⇒M氏は、土地のバブル崩壊がまもなく始まると断言した。そして、中国の経済成長が確実に鈍化を始めているとも語った。

⇒今回の上海⇒義烏⇒上海の全行程ガイドをしてくれた孟さんも浦東地区リバーサイドに開発中の「ウォーターフロント超高級億ション(1戸3億円以上)」が全く売れていないことを教えてくれた。もう中国人にはマンションが買えないかもと思っている勤労世帯が増えているとも言った。孟さんは西安から来た青年だ。上海外国語大学で日本語を学んだ。

⇒孟さんは大志を抱いて上海に来た。日本語をマスターし、料理店の経営を志したが頓挫。ガイド業も夜遅く、いわき夢実現塾の塾生のような無理難題を言う日本人観光客に癖壁している。時間が不規則なのでうんざりしていると言った。3千万円〜4千万円の価格が多いマンションを買うと1ケ月に20万円も払えないと嘆いていた。

⇒中国は社会主義国家だ。個人的に土地を所有している人はいない。中国の不動産(土地)は国が期限付き(70年以下)で民間に払い下げた「定期借地権」の土地やその土地に建てられた不動産の売買でバブルが起こっている。住居としての借地できる権利は70年以下、その他商業地等の権利は50年以下と期間だ。すなわち永久的な権利ではなく、70年でゼロになる権利の取引をやっている。70年もあるとは言え、払い下げられた時点から価値の劣化が始まっている土地取引だ。今後、その権利を売買で取得しても60年、50年しか住めない事になる。つまり中国において土地というのは、「常に目減りする資産」だ。一度バブルが崩壊してしまったら、じっくり待って再度の値上りを期待するのは難しいと考えられる。

⇒実は中国人富裕層に今、日本や海外の不動産を購入することによって、購入者は永久的に土地及び建物の所有権を有することができるというメリットをアッピールして不動産商談会が行われているそうだ。そういえば、今回宿泊したホテルの会議室で研修のようなものが行われていた。若いが見るからに富裕層の男女が名札を首から掛けていたので、エレベーターで「何のセミナーですか?」って英語で聞いたら「リアルエステート・・・」という返事を聞いた。

⇒また中国の不動産市場において、海外物件の人気が高まっているという。海外で不動産を購入する者の中に中長期的な投資家が多くいる。投資の目的を聞くとさすがとうなずく。子供が将来その国に留学するための準備として海外物件を検討しているという。

⇒中国では持てない永久資産を海外で所有し、それを投資の対象にもし、師弟の留学にと考える華僑ならではの、ずば抜けた発想に恐れ入った!

⇒あんなに広大な国土のある中国で土地バブルが起こっていることが不思議だ?

⇒ジャスコが中国出店で失敗した理由を、上海に在住するNS研究会中国駐在所長管さんに聞いた。簡単だった!「駅前出店」をやっちゃったからなんですよ!と言った。中国では、駅に集まる人はいないんだそうだ!駅は哀愁ただよう故郷との接点??中国の鉄道駅は上野駅なのだ!義烏を往復するのに上海駅に行った。日本でも絶対に観ることのできないドーム型の素晴らしく近代的な駅だ。しかし、ここに集まる中国人を観ると多くが大きな荷物を持っていた。そう上海にも北京にも深浅にも広州にも「山手線」「環状線」は無かった。いま地下鉄が急ピッチで造られている。中国の駅前立地は、地下鉄駅前かも?

⇒かつて日本のチェーンストア理論で学んだ「サバブ立地」「エクサーブ立地」の定義に基づいた出店はかなり有効だと感じた。

⇒2日目に行った義烏(イーウ)の70万人都市(中国では田舎だと言う)は昼間人口240万人だという。間違いなく、今後も居住人口は増えるサバブ、エクサーブ立地だ!中国の100万人未満の都市に出店計画をすれば何千店出店が可能なのだろう?だってWal−Martが3,856店舗も米国内にあるんだもん!単純に人口比で計算しても6倍から7倍=24,000店!!オォー〜マイ・ゴッド!!


少子高齢化
⇒M氏は、2015年から中国は完全に「高齢化社会」に突入すると断言した。中国の社会統計をまじめに考えたことがないのだが、中国はおそらく日本よりも切実だろうと一瞬考えた。

⇒そう!「一人っ子政策」が及ぼす最悪のシナリオだ!「誰がご老人の面倒をみるんだろう?」

⇒今朝、テレビで東京首都圏の老人介護に携わる人たちの就労問題と閉鎖される介護センター(特にデイケアセンター)のドキュメンタリーが放映されていた。

⇒今後、中国も医療技術が飛躍的に向上し、平均寿命、余命も伸びてゆくだろう!?中国は国家福祉にどのような制度構築をやっているのか?社会保険制度はどのようになっているんだろう?

⇒高齢者の絶対数の多さは想像を絶する!M氏は60歳以上の人口が日本の人口1億人を上回っているんだよって言う。2006年末現在の調査によると、中国の高齢者(60歳以上)人口は1億4,900万人で、総人口の11.33%。ミッションメンバーも「ホ〜!!」って言うが、たぶん実感が沸かないようだ。そして、地域間格差も指摘した。特に都市圏を中心に高齢化の進展が急激に進んでいる。

⇒中国政府が採った「一人っ子政策」は都市圏で行われた。

⇒中国問題その4で論じるが、中国の戸籍には「人民」「農民」の差別区分がある。「一人っ子政策」は農民を除外した。都市部で厳格な「一人っ子政策」を実施をしてきた影響(なんと共産党高官などの家庭では目こぼしがあったそうな)で、沿海部の経済発展地域や大都市圏での高齢化社会は現実となっている。

⇒上海は中国で最も高齢化が進んでいる。なんと2006年時点で60歳以上の人口は275.6万人、戸籍人口のなんと20.1%を占めている。

⇒この戸籍人口というのがおもしろい!非戸籍人口があるからだろう!中国人はオギャーと生まれた時、「都市(人民)戸籍」と「農村(農民)戸籍」に大別され、その人の学歴や職歴等を綿密に記録した「人事档案制度」により厳格に管理されている。まさに差別なのだ!

⇒また上海市の平均寿命が80.97歳になっていることをご存じ??おそらく今後も高齢者が占める人口の割合は急上昇するだろう?!

⇒インターネットでサーフィンすると「シルバー・ビジネスのチャンス!」なんていうタイトルを見かけるが、日本ですら「シルバー・ビジネス」のビジネス・モデルが完成しているわけではないので汎用化させるにはまだ時間が必要だろう?中国では「富裕層」に対するものに限定されるだろう?

⇒中国問題その4でも論じるが、農村地域の年少者が都市部へ移動している事実。このことは農村地域の高齢化を助長することになる。だから中国はどこに行っても、高齢化社会へまっしぐらの感あり!

⇒我々、流通業者が考えるべき高齢化社会でのビジネス・モデルづくり、すなわち「ニーズへのマッチング」と「ウォンツのシージング」を日本で真剣にプロジェクト化すれば、近未来にアジア諸国への普及の要請が来るのではないのかなぁ?

⇒私見であるが、中国は「儒教感」の浸透した国だ。文化大革命で焚書したり、思想教化したが、潜在的に儒教思想が浸透していると確信している。

⇒M氏は、朝早く起きることを薦めた。そして公園に行こうと!メンバーの何人かは翌日早起きして「中山公園」に出向いたそうだ。彼の言ったとおり、公園内は人であふれ、老若男女が太極拳や鼓弓弾き、小鳥の品評会などなど、所狭しと朝の親子やご近所との交歓が行われている。小生は以前から直接観てきたので、最近は本通の裏で生活する場面を観に行くことがほとんど。今回も朝市を観に行ってきた。

⇒中国では「養児防老(子供を育て、老後の不安を防ぐ)」、「三・四世代同堂(三・四世代大家族のこと)」が伝統的な家庭観だ。子供より高齢者を大事にすることが美徳であった。ところが、この高度経済成長と共に生活スタイルや家庭観の変化が起こっていると言う。御多分に漏れず、中国でも「核家族化」、「三人家族化」社会に向かっている。

⇒都市部において独居老人が一人寂しく亡くなっているという。これは日常茶飯事だがニュースにしない。国家統制にあるマスコミは、そのことを知ってはいても報じない。

⇒以前から男女同権の傾向が顕著な女性の就業も家庭内扶助を困難にしている。なんと虐待などで高齢者が被害に遭うことが度々発生していると彼は言った。

⇒中国政府の生産性向上策は、高等教育の充実によって達成しようとしている。これは正解と小生は確信する。教育レベルの低い国家、企業はやはり生産性が低い!小生もユネスコや国境なき医師団に寄付行為しているが、本当は教育支援事業を優先にしているところにシフトしたいと思っている。

⇒話が飛んだ。中国は「中高年層の生産性改善」を急ぐべきではないだろうか?日本では団塊の世代の生産性はかなり高い!比較のバロメターを持ち合わせないが、中国では、どの製造業も人海戦術の低賃金労働者による労働集約型生産だ。

⇒国家レベルでの労働生産性は低いと想像する。郊外の農村部作業や道路工事を車窓から観るだけ想像できるから。

⇒社会保障、福祉に係る原資が国防に偏向している感は否めない。日本でも国家予算のバランスのあり方がもっと問われるべきなんだろうが、「他山の石」として、外遊してきたことはもっけもんだったように思う。


た邑¬簑
⇒M氏は中国でもっとも陰湿な問題は「人権問題だ!」と断言した。
  
⇒私が軽薄な理解で中国人権問題を考えていたことが、M氏の短時間の説明で脆くも崩れたことは事実だ。チベット問題などもそうだが、もっと広くて深くい。

⇒その最たるものは「居住地域を移転することができない」という事実だ。

⇒原則として、中国ではなんと戸籍のある場所にしか住めない!移動の自由が存在しないのだ。これは1958年にできた「中華人民共和国戸口登記条例」によるものだ。

⇒共産主義の典型的思想は「共に作り、共に分かち合う」ものだ。計画経済時代に配給制度が形成された。配給をスムーズにするためには、住居をポンポン移動されてはたまらない!ノーメンクラートラ階級の連中を除いて、移動がままならなかった。

⇒つまり都市戸籍を持つ人間は少数のエリートにとどめ,その数を厳しく制限する方針だったのだ。

⇒文化大革命の時、「走資派」と名指しされた知識人やその子女が大々的に「下放」されたが,それは都市戸籍の剥奪を意味していたのだ。下放されたくらいはまだいい!いつかは露呈されるであろうが、文化大革命での粛正で数千万人の人たちが地中に埋められているという。ポルポト政権は解体させられたからその事実が明かされた。ロシアも中国もまだ当分、その事実を公表することはないだろう!
  
⇒私の幼少時代にも米穀手帳が家にあった。米はやはり配給制だった。しかし配達してくれる米屋さんは、中国の小売業者やサービス業者のように偉そうな態度をしたことがなかった。沿岸部の発達地域は緩和されているが、内陸部にゆくとまさに官憲並の態度だから閉口する。今回宿泊した上海のリバーサイド・ホテル・シャンハイのフロントも同様のひどさだった。日本の米配給制度はすぐ無くなった。しかし、生産者米価と消費者米価のアンバランスが減反政策を生み、日本の食料受給率を激減させたように思う。経済政策の失政は長きに渡って影響を残すことは肝に銘じる必要がある。企業のアドミニストレーションでも同じではないだろうか?

⇒小平の経済自由化政策に連動して、戸籍にまつわる制限は緩和されたそうだが、今でも全人民4分の3の人口構成比を占める農民戸籍を持つ者は都市への移動が許されていない。逆に都市(人民)戸籍を持つ者が自由に農業をすることは極めて困難なのである。これでは農業の技術開発、技術移転をすることは困難なのではないだろうか?

⇒日本でも同様なことがいえるのだが、農業の産業化・工業化はできない。かつて小生は、福島県農業経営指導員なるものに嘱託された。何度か講演会に招聘され、勇んで経営論を論じたが簡単に受講者から拒絶された。日本の農業の世界は「宮沢賢治」の世界がまかり通っている。宮沢哲学は、メルヘンではないが「雨にも負けず、風にも負けず」の美徳が優先する。「働かざる者、喰うべからず!」=「ノーワーク、ノーペイ」は真理だが、農業界には科学的取り組みが農学、生物学、植物学だけが優遇される。IE(インダストリー・エンジニアリング)の取り組みがどうも欠落しているようだ。

⇒中国の農村部を自家用車でゆっくり走ってみよう!車窓から、大量の農夫たちが麦わら帽をかぶって黙々働いている。旧ソ連のコルフォーズやアメリカ・オーストラリアの広大な農耕地を超大型トラクターやコンバインを観た者なら、「なんじゃぁこりゃぁ??」ってことになる。

⇒実は農民戸籍と人民戸籍間では、今でも教育・就職・医療・社会保障などの条件が異なっているのだ!すべてにおいて都市(人民)戸籍の人が優遇されている。これが中国の格差社会を象徴するものなのだが、日本の報道ではなかなか知り得ない。取材がままならないからだろう。

⇒確かに建前では、都市部の急速な建設ラッシュで工事に従事する人手が極端に足りないから、一応合法的な出稼ぎは暫定居住証を発行してもらっているという。しかしなんと、「外来人口管理費」などを納めなければならないのだ。ここにも「黒やくざ」が存在するらしい。

⇒労働人口の受給バランスを保っているのが違法な人口流入だ。無戸籍の人だ。上海の2006年の公称人口は1,815万人だが、ガイドは2,200万人はある!という。

⇒病院建設や医者育成もも急ピッチだが、事故や事件での死傷者はうなぎ登りで間に合わない。

⇒旅行社が教えない事実は、中国で交通事故の被害者になったら保障はないと思えとM氏は言った。救急車が現場に到着したら、救急隊から真っ先に聞かれるのが「2,500元」の現ナマがあるかどうかだそうだ。もしなかったら、彼らは何も手当をしないで帰るのだそうだ。よかった!今回の視察では、財布とポシェットに十分な現金が存在した。だが、あの交通混雑で当て逃げされてもわからない!(トホホ)

⇒移動禁止の農民がこれとは逆に、地域が大規模開発されるときには十分な移転補償もないまま強制退去をさせられている。

⇒三国志のプロローグはご存じのように「紅巾賊の反乱」からだ。彼らは圧政を不服とする農民の盗賊だった。城の中では、巧みに国王をお飾りとし腑抜けにさせる宦官たちの横暴があった。

⇒多くの工場や工事現場で最低賃金をはるかに下回る賃金で働く女工・工員哀史が現実なのだそうだ。「野麦峠」をかつて読んだ記憶が蘇った。


ダ度と文化の狭間
⇒M氏は、中国で現地合弁企業を日本で一番早く立ち上げた製造業が(株)ケンコーだと豪語した。現在、その企業の副総経理(実質代表者)だ。

⇒M氏は中国における今後のコスト上昇要因は、制度の未整備によるものが極めて大きいと論じた。法治国家ではなく、制度をつくりながらも人治国家だから、結局、人ごとに関わるコスト(根回し、賄賂)が低人件費を相殺しているとも言った。

⇒そういえば以前、三井戦略研究所の副所長とロシアのシベリア鉄道で同室になり一晩語り明かした時、ロシアでは「裁判官」「弁護士」、そして「マフィア」の人脈がないとビジネスは成り立たないと聞かされたときを思い出した。

⇒確かにJETROの中国進出企業の実態と投資環境満足度評価のアンケート(2003年版で少し古いが)を調べてみると、 1)法令の不備や不透明性 2)税制の不備やその運用の不透明性 3)法令の恣意的な運用や統一性が不満足要因のトップ3だ。この「不備」という文言がくせ者だ。本音は、結局、不備による関係づくりに労力が費消されると解釈したい。

⇒M氏はおもしろい話をした。中国人は絶対に残業をしないということを・・・。

⇒M氏の会社では約150人のホワイトカラーがいるそうだ。なんと17:00になって、周りを見渡すと日本人だけになっているそうだ。また、日本のように「ノミュニケーション」でちょっと一杯行こうという習慣がない。欧米の文化と限りなく似ている。夜は家族でいることを好む。朝は、公園に出向いて太極拳や茶話会を地域コミュニケーションにする。

⇒またM氏の見解では、中国人はとにかく排他的だそうだ。上海人は上海語で話そうとする。上海語を操れないといつまでもよそ者扱いされる。
   
⇒日本人管理職が半年もしないうちにストレス性胃潰瘍になったり、ノイローゼになったりする原因は中国特有の文化になじめないことだとM氏は断言した。だから彼は、上海に赴任したとき、とにかく中国人部下に上海語で話をするよう頼み、上海語をマスターしたそうだ。

⇒この中国文化を体得しながら、中国の躍進のために不可欠な制度改革についてゆこうとすると限りなく困難が待ち受けるとM氏は言う。

⇒なにが?かつて毛沢東が文化大革命を敢行し、焚書までして共産思想を浸透させようとしたけれど、ほとんどの人が儒教文化を潜在的に継承しているという。チベットに行けば、チベット仏教文化を!あっちにゆけば・・・と。

⇒すなわち制度の未整備による商取引ストレスと文化の乖離によるコミュニケーションの欠落があることを知ってビジネスを行わなければならないということだ。中国でのビジネス失敗の原因をその辺から考察することは大事に思った。

⇒そうなのだ!ジャスコの中国駅前出店の失敗、ヤオハン中国投資の失敗がビジネスライクに原因発表されているが、華僑人の中にある「朋友(パンヤオ)」の神髄を知らなくして語れない!

⇒中国の食品流通を展望する上で、農業・農村問題も知っておかなきゃならないのかな?

⇒実は、中国には「三農問題」というのがある。中国の抱える内政上の最大の問題だと言われている。

⇒「三農問題」とは「農業」「農村」「農民」だ。この問題の核心は、農業と工業の間、農村と都市との所得格差、生活格差の拡大のことだ。

⇒労働コストの多くを占める食料品価格を低く抑えることで工業の発展を図るという経済成長政策があった。そう農産物価格を低くして、農村から経済価値を搾取することで都市の発展を実現してゆくわけだ。

⇒中国でも、農家には農産物に農業特産税が課される一方、都市住民には市場価格よりもさらに低価格での食糧配給制度が実施されていた。

⇒また前述しているが、都市(人民)戸籍と農村(農民)戸籍がはっきりと区分され、就学や就業面でなんと農村住民が都市へ移動することができないのだ。脱村をして、都市で就職先を見つけた場合でも、「暫住(しばらく住む)」という資格しか与えられないのだそうだ。彼らは、低賃金、長時間労働という劣悪な労働条件を受け入れなければならない。

⇒都市に過去からいた住民は医療や失業保険、年金等の社会保障を受けることができるが、農村住民にその権利がないのだ!

⇒また農業税という特別な税金が課されているらしく、村の財政に振り向ける税制が確立されていないため、村では恣意的に農民から資金調達をしたりする。ついには国家プロジェクトで土地の収用が必要となれば、正当な補償もなく彼らの土地が国家の土地だからという理由で強制的に取り上げられる。

⇒私も関係する日本の卸売業のPB開発で中国の工場に委託生産をするための交渉になんども同席したり、工場のHACCP,ISO基準準審査のための工場視察をする。働く従業員(ほとんど女工さん)の新陳代謝期間が2年なのだ。内陸部から出稼ぎ的にくる労働者を賃率上昇させずに2年使って、新たな工員さんと入れ替える。人件費の上昇は抑えられる。いわば「マクドナルド人事」の2年版だ。そのために私の知る中国の菓子製造業は、日本の中堅菓子製造業に比べると格段にレベルの高い生産ラインを持っている。そう!システム化がかなり進んでいるのだ!そうしないとワーカーの新陳代謝はできない。チェーンストア・システムの本質的思想にワーカーの短期育成システムがある。

⇒ご承知の方も多いと思うが、日本の高度経済成長は、第1次産業従事者(農林漁業)の所得の向上によって全国の消費需要が好調に推移してきたことに大きく支えられてきた。あの三種の神器といわれた家電製品の普及率は高度成長時代、都市と農村でほとんど変わらなかった。自動車に農村の普及率が都市を上回っていた。中国が本当の経済成長してゆく上で農村の所得格向上は不可欠のように思うが、科挙制度の精神的文化を承継する差別文化がどこまで融和されるのかな?と思う。大国を歩くと米国の短期間による「経済民主主義の実現」過程はやはりすごいなぁ!と思ってしまう。

⇒かつての日本も途上国だった。だって僕が幼少の頃!梅田の阪急ホテルに行くと青い目をしたお人形の外人さんを観て、発展途上人だと感じたもん!「夢のハワイに行きましょう!ロート製薬提供、アップダウン・クイズ」を観て大阪福島駅近くにある毎日放送に出場したくて応募したことがある。高校生はダメの一言で門前払いされた。20歳の時、1ドル360円時代だった。あのあこがれが爆発して、なけなしのお金をはたいてハワイに行った。当時は予防接種を受けなければならなかった。預金通帳に帰国するだけのお金があることが確かめられてパスポートとビザが発給された。今の中国が当時に似ている。ワイキキ・ビーチへ真っ先に行って、本物のビキニを着た超べっぴんさんの下半身を観て、発展途上の私のジュニアが矢も楯もたまらずギンギンに元気づいたことを今でも思い出す。自動販売機に25セントを入れて出てきたコカコーラのどでかさに圧倒され、キャデラックを観て写真を撮りまくった。



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